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2026.09.15

【続報】Glamsterdam の Sepolia フォークが10月6日 13:53:36 UTC(エポック353024)で確定:Devnet-11 で初の安定移行、「エポック351232」の食い違いも解消

【続報】Glamsterdam の Sepolia フォークが10月6日 13:53:36 UTC(エポック353024)で確定:Devnet-11 で初の安定移行、「エポック351232」の食い違いも解消

何が起きたか

Glamsterdam の公開テストネットでの有効化時刻は、Ethereum Foundation の Parithosh Jayanthi 氏が ethereum/pm#2205 として提案し、9月15日にマージされた。Sepolia の値は、エポック353024、開始スロット11296768、Unix 時刻1791294816(2026年10月6日(火)13:53:36 UTC)である。この値は9月17日マージの ethereum/EIPs#12355 で Meta EIP-7773 の有効化表にも記録され、eth-clients/sepolia の設定にも反映された。EL 側は amsterdamTime: 1791294816、CL 側は GLOAS_FORK_EPOCH: 353024、フォークバージョンは 0x90000076 である。Hoodi とメインネットの時刻は、pm#2205 でも「TBD」のままである。

9月16日には、Glamsterdam-Devnet-11 でフォーク移行が行われた。翌17日の ACDC #187 で、EF の開発運用エンジニア pk910 氏は「有効化はまったく問題なく進んだ。参加率の低下はなく、すべてのクライアントが追随した」と報告した。Lido と Optimism も自社のスタックを Devnet-11 に展開し、初期の評価は良好だったという。同じ会議で、Sepolia を10月6日にフォークすることが確認された。今後の試験は主に Devnet-8(公開テストネット Platåberget)で続けられ、Hoodi の日程は Sepolia の後に決める方針である。

この確定の前提には、長い不安定期間がある。Devnet-8 では、親ブロックと同じハッシュを繰り返すブロックがネットワーク全体を停止させうる CL の欠陥が見つかった。約1,000ノードで始まった Devnet-9 はファイナライズできず、EL 側でも EIP-8037(状態作成のガスコスト引き上げ)の実装に不具合が見つかり、全クライアントが修正を迫られた。開発者は Devnet-10 を飛ばし、構成を刷新した Devnet-11 に移行していた。

日程の変遷を並べると、どれだけ後ろにずれたかが見える。Sepolia での有効化は当初8月3日が想定され、8月の ACDC #185 で9月28日案が出され、9月3日の ACDC #186 で10月6日が暫定的に合意され、17日の ACDC #187 で確定した。ACDC #186 のアジェンダには、Lido と Optimism から「フォークを予定する前に、テストネットで少なくとも1日の安定稼働を」という要請が記録されている。Devnet-11 での安定移行は、この条件を満たしたうえでの確定と位置づけられる。メインネットについては、ethereum.org のロードマップページが「2026年第4四半期、日付は未確定」としたままで、12月は開発者間で話題に上っているにすぎない。

数字の食い違いはどこから来たか

当シリーズは9月14日付の記事で、報道にあった「エポック351232」と「10月6日 13:53 UTC」が整合しないことを指摘していた。Sepolia のビーコンのジェネシス時刻(1655733600)から計算すると、エポック351232は2026年9月28日 14:44:48 UTC にあたる。これは8月20日の ACDC #185 で提案されていた「9月28日案」の値と一致する。一方、pm#2205 の正式値であるエポック353024は、1655733600+353024×32×12=1791294816 となり、10月6日 13:53:36 UTC に正確に一致する。二つのエポックの差は1,792エポック、時間にして約7.96日で、Sepolia の日程が約1週間後ろにずれたことと合う。

つまり報道は、日付だけを新しい案に更新し、エポック番号には古い案の値を残していた可能性が高い。エポック番号は、クライアント設定にそのまま入る値である。日付を信じて古いエポックを設定すれば、そのノードは約8日早くフォークしようとする。

互換性の切れ目

Glamsterdam は EL と CL の両方を変える。主な変更は、プロトコル内の提案者・ビルダー分離(EIP-7732)、ブロックレベルのアクセスリスト(EIP-7928)、状態作成のガスコスト引き上げ(EIP-8037)である。EIP-2124 のフォーク ID も変わり、Sepolia のノードはハンドシェイクで次のフォーク時刻として1791294816を広告するようになる。Erigon の実装 PR では、Amsterdam 以降のフォークハッシュを 0x6c1d9423 としている。フォーク時刻を知らない旧版のノードは、この時刻を境にネットワークから外れる。

影響はフルノードにとどまらない。EIP-7928 はブロックヘッダーに新しいフィールドを加えるため、ヘッダーを独自にデコードするライトクライアント、ブリッジのヘッダー検証、インデクサのパーサーも対応が必要になる。独立系ウォレットエンジン myotis の準備計画では、未知のフィールドを許容するデコーダーで Amsterdam の追加フィールドが処理できることを、フォーク前のテストとして明示的に組み込んでいる。ノードを運用していない組織でも、ヘッダーを読むコードがあれば当事者になる。

クライアント側の組み込みは、9月下旬に並行して進んだ。Reth、Nethermind、Erigon(r3.7 系)、Lodestar、ethrex などで、Sepolia の日程を設定に入れる PR が確認できる。ただし、Reth の PR #27348 は依存ライブラリ(alloy-rs/hardforks#96)の更新待ちで一度閉じられている。各クライアントの対応版がいつ公開されるかは、リポジトリごとに確認する必要がある。

想定される落とし穴

第一に、フォーク ID の早期変化である。フォーク時刻を組み込んだ版のノードは、フォーク前からハンドシェイクで新しい forkNext を広告する。旧版とは接続できるが、フォーク時刻を過ぎた瞬間に分岐する。「今はつながっているから問題ない」は判断材料にならない。

第二に、EL と CL の片側だけの更新である。Glamsterdam は両層にまたがるため、片方だけ更新したノードは、フォーク後に両層の判断が食い違う。バリデータなら投票の欠落につながる。

第三に、Sepolia で検証できるのは、あくまで Sepolia の条件である。Devnet-11 の安定は、Hoodi やメインネットの日程を保証しない。Sepolia での結果次第では、Hoodi(開発者間で10月下旬が暫定的に話題に上っている)以降が再び動く可能性は残る。EIP-8037 のようにガス計算を変える変更は、L2 やコントラクトの見積もりロジックにも影響する。Sepolia は、それを実トラフィックに近い条件で確かめる最初の公開環境になる。

【技術インサイトとアクション】

  1. フォークの日付は人が読む値だが、エポック番号とタイムスタンプは機械が実行する値である。報道では両者がずれうる。今回は日付だけが更新され、エポックには旧案の値が残っていた。 [ノード運用者] 今週中に、Sepolia の設定値(amsterdamTime: 1791294816、GLOAS_FORK_EPOCH: 353024)を eth-clients/sepolia の一次値と照合し、ジェネシス時刻からの逆算で日時を検算する手順を運用手順書に組み込む。
  2. 9回の devnet 失敗の後、1回の安定移行で公開テストネットの日程が確定した。しかし「devnet で安定した」ことが保証するのは、クライアント同士の相互運用性までである。L2 やステーキング基盤のような周辺スタックが実負荷でどう振る舞うかは、Sepolia で初めて検証される。 [インテグレーター・L2 運用者] 10月6日のフォーク前に、自社の L2 ノード、ブリッジ、ガス見積もりロジック(EIP-8037 の影響を受ける状態作成を含む)を Sepolia 向けに準備し、フォーク後48時間の監視体制を組む。
  3. EL と CL の対応版は別々のリポジトリで、別々の時期に公開される。一部のクライアントでは、依存ライブラリの更新待ちで組み込みが遅れている。 [ノード運用者] 10月1日(フォーク5日前)までに、自社が使う EL と CL の組み合わせについて、Sepolia 日程を含む正式リリースの版番号を特定し、更新を完了する。未公開の場合は代替クライアントへの切り替えを判断する。

【引用:出典】

※エポックと日時の換算は、Sepolia ビーコンのジェネシス時刻1655733600(2022年6月20日 14:00:00 UTC)、1エポック=32スロット×12秒で筆者が算出した。

本記事は公開情報に基づく技術解説であり、投資助言を目的としたものではありません。