Technology Insights
最新のテクノロジー動向とインサイトをお届けします。
2026年8月30日、Cronos のバリデータは、同チェーン最大のレンディングプロトコル Tectonic に対する価格操作攻撃を受けてブロック生成を停止し、状態を攻撃前のスナップショットへ戻したうえで再起動した。攻撃者は流動性の薄いガバナンストークン TONIC の価格を約20分でおよそ100倍に吊り上げ、担保にして他資産を借り出した。巻き戻しによって大半の資産は動かなかったが、停止前に Ethereum へ渡ったおよそ600万ドルは戻らない。この非対称性が、クロスチェーンに接続している実装にとっての本題である。
Cosmos Labs は2026年8月28日、共有モジュール cosmos/evm の残高処理に起因する脆弱性 GHSA-7g4w-cg88-2cq2 のポストモーテムを公開した。同社は4月25日にバウンティ経由で報告を受けていたが、本番構成では資金リスクなしと判断し、セキュリティ告知を伴わない公開パッチとして処理した。修正版の公開から約20時間後に最初の攻撃が始まり、6チェーンから換金ベースで約572万ドル(約9.1億円、1米ドル=159円、2026年9月2日時点)が流出した。問題は欠陥そのものより、共有依存の開示設計にある。
2026年8月27日の実行層コアデベロッパー会議(ACDE)で、ネイティブアカウント抽象化の提案 EIP-8141(Frame Transactions)が Considered for Inclusion から Scheduled for Inclusion へ引き上げられた。ただしこの決定は「Hegotá でアカウント抽象化を出す」という意思表示であり、仕様も最終的な EIP 番号も固定されていない。競合案の EIP-8130 は9月に Base で稼働予定で、L1 と L2 で異なるアカウント抽象化方式が併存する期間が生じる。
Solana は2026年8月21日、メインネットのスロット時間をジェネシス以来はじめて短縮し、400ミリ秒から350ミリ秒へ移行した。SIMD-0525 が定める4段階の50ミリ秒刻みの第1段で、ブロックあたりの計算ユニット上限は比例して 100M から 87.5M へ縮み、エポック長は約48時間から約42時間へ短くなる。スループットは増えないが、ブロック数で定義されている定数の実時間換算がすべてずれるため、影響はバリデータ運用よりむしろアプリケーション側に出る。
2026年8月20日のコンセンサス層コアデベロッパー会議 ACDC #185 で、Glamsterdam の Sepolia 適用が epoch 351232 / slot 11239424、2026年9月28日 14:44:48 UTC として提案された。異論は出なかったが、議事は同じ行に「決定は次回 ACDC へ持ち越し」と併記しており、確定ではない。Hoodi は10月26日が続き、メインネットは依然として日付なしの第4四半期目標である。この「提案されたが確定していない」段階を確定として社内に流すと、後で日程が動いたときに信用を失う。
Ethereum Foundation は2026年8月17日、Glamsterdam 専用の公開テストネット Platåberget を告知し、同月20日に同テストネット上でフォークを実施した。ePBS(EIP-7732)とブロックレベルアクセスリスト(EIP-7928)に加え、EIP-8037 が状態生成コストを通常の実行ガスから分離するため、イントリンシックガスを定数として扱っているコードは動作しなくなる。メインネット適用は第4四半期目標で日付は未定だが、ツール側の修正期限は Sepolia フォークであり、猶予はそれより短い。
Ethereum のクライアント開発企業 Nethermind は2026年8月19日、LayerZero の DVN 運用から撤退し、Chainlink のノードオペレータ兼技術提供者として CCIP と Data Feeds の運用に加わったと発表した。同社は LayerZero に技術的欠陥を指摘しておらず、実施した「広範なレビュー」の内容も公開していない。DVN 運用者が自ら離脱した公開事例はこれが最初とされる。設定可能なセキュリティモデルでは、検証者集合の構成が下流のコントラクトから見えないまま変わりうる点が本題である。
2026年8月18日、MAYAChain のメインネットに 23 個のメッセージを含む単一の MsgDeposit トランザクションが投じられ、盗難検知・スラッシュ補償・プール会計・送金処理にまたがる6つの欠陥が連鎖した。誤って発火した補償ロジックが、準備金の実残高を参照しないまま薄いプールへ約 4,945 万 CACAO を貸方計上し、その送金は失敗したにもかかわらず水増しされた残高だけが永続化された。攻撃者の取得額はおよそ165万ドル(約2.6億円、1米ドル=159円、2026年9月2日時点)。単一のバグではなく、失敗経路のロールバック設計が欠けていたことが本質である。