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自民党「次世代AI・オンチェーン金融構想」を了承──3メガバンク共同ステーブルコインは2027年3月実運用へ、エージェンティック・コマース時代の金融基盤構築が国家戦略に

自民党「次世代AI・オンチェーン金融構想」を了承──3メガバンク共同ステーブルコインは2027年3月実運用へ、エージェンティック・コマース時代の金融基盤構築が国家戦略に

提言の概要と政治的位置付け

2026年5月19日、自民党デジタル社会推進本部「次世代AI・オンチェーン金融構想PT」(座長:木原誠二衆議院議員、座長代理:平将明衆議院議員、事務局長:村井英樹衆議院議員)がまとめた提言が党政調審議会で了承された。両議員は自身のXアカウントで報告している。なお木原氏・村井氏はいずれも財務省出身であり、本提言の財務行政への影響力の大きさを示唆する布陣となっている。同提言は政策提言の段階であり、法律改正や政府決定そのものではないが、平氏が過去のセッションで「PTを作るとほぼ国の政策になる」と語ったように、政府方針や制度設計への反映が今後の焦点となる。

エージェンティック・コマース時代の金融インフラ設計

提言の根本思想は、AIエージェントが判断・実行する自律的経済活動「エージェンティック・コマース(Agentic Commerce)」時代を前提とした金融基盤の再設計である。AIエージェントの普及により従来個別に行われていた経済活動が連結化され、24時間365日体制で自動化される未来を想定。その前提となる取引、決済、契約、資金移動の信頼性を担保する基盤として、ブロックチェーンの「耐改ざん性」「参照可能性」「プログラマビリティ」がAIと高い親和性を持つと整理した。「AIは銀行口座を持てないので、ステーブルコインが必要」という整理が、構想の中核に据えられている。

重点領域と具体的タイムライン

具体策の柱は3つである。第一にトークン化預金(TD)については、日本銀行当座預金のトークン化対応やホールセールCBDCを含む論点整理を年内に公表するよう要請。第二に円建てステーブルコイン(SC)については、給与支払いや納税などに関する法的位置付け整理を省庁横断で進める方針を示すとともに、3メガバンク共同ステーブルコインを2027年3月までに実運用開始する目標が明記された。同共同SCには三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行に加え、三菱商事・三菱UFJ信託銀行・Progmat(プログマ)が参加し、信託型スキームを採用。まず三菱商事の日本拠点と海外拠点間のクロスボーダー決済での活用が想定されている。第三にRWA(現実資産)のオンチェーン化を重点領域に据えた。加えて、アジア諸国との「AI・オンチェーン金融アジア政策対話枠組み(仮称)」、円建てSCを活用した「グローバルSCコリドー構想(仮称)」も盛り込まれ、金融庁には5年間のロードマップ策定が求められた。量子コンピューターによる暗号技術危殆化リスクへの対応も課題として明記されている。

【事業開発に関するインサイト】

  1. 「AIエージェント×ステーブルコイン」が次世代決済プロトコルの主戦場に:「AIは銀行口座を持てない」という提言の問題意識は、AIエージェント経済の決済インフラとしてステーブルコインが必須となる構造を示す。マシン・トゥ・マシン(M2M)決済、API連動型自動課金、エージェント間スワップなど、新たな決済ユースケースが急速に立ち上がる見通しであり、決済プロトコル設計、エージェントID管理、コンプライアンス自動化を提供する事業者にとっては巨大な機会領域となる。
  2. 3メガバンク共同ステーブルコインが日本のB2B決済を再定義する:3メガバンクの法人顧客数は合計30万社超に達する。Progmat基盤・信託型スキーム・三菱商事の海外拠点間決済からのスタートという設計は、日本企業の貿易金融・グループ内資金管理(CMS)・サプライチェーン決済を根本から再構築する潜在力を持つ。商社・製造業・物流業のCFO・財務部門にとって、自社のB2B決済フローをトークン化前提で再設計するタイミングが到来している。
  3. 「アジア金融コリドー」構築が日本Web3企業の海外展開の追い風に:提言に盛り込まれた「AI・オンチェーン金融アジア政策対話枠組み」「グローバルSCコリドー構想」は、日本主導のクロスボーダー決済インフラを志向する。これは韓国Kaiaチェーン上での日韓ステーブルコイン連携や、シンガポール・香港との規制協調と接続する余地が大きく、日本のWeb3企業がアジア市場へ展開する際の政策的後ろ盾として機能する可能性が高い。ASEAN・東アジアでのパートナーシップ構築は中期戦略の優先課題となる。

【引用:出典】

監修

石田陽之(いしだあきひさ)

Cabinet株式会社 代表取締役

2017年より、一貫してトークンやNFTの活用、ブロックチェーンゲームの企画・開発、NFTを活用した事業開発に従事。大手エンタメ上場企業を始め、80件以上のブロックチェーンプロダクトに対し事業責任者や設計、PM、アドバイザー等、様々な立場でブロックチェーン関連の事業開発に関わってきた。2021年よりCabinet株式会社を創業。

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