ロジザード、ブロックチェーン共通デジタル荷札「Bit Waybill」を2026年秋始動──物流2024年問題とフィジカルインターネット実装に向けた業界横断データ基盤

「Bit Waybill」の構造とブロックチェーン活用
ロジザード(東京都中央区、代表取締役社長:金澤茂則)は2026年5月20日、共通デジタル荷札「Bit Waybill」を今秋より提供開始する計画を発表した。本サービスは貨物ごとに発番した共通IDをブロックチェーン上でNFT(非代替性トークン)として管理することで、複数企業間でも荷札データの真正性・唯一性を維持したまま安全に物流情報を共有する仕組みである。運送履歴や更新情報を時系列で保持することで、高いトレーサビリティも実現する。ロジザードは年間1億件超の出荷オーダーを処理するクラウドWMS「ロジザードZERO」の運営事業者として、倉庫側から運送効率化に貢献するアイデアを継続検討してきた経緯がある。
技術基盤「ThingsToken」と共同研究の経緯
技術基盤には、東証スタンダード上場のぷらっとホーム(東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木友康)が開発した非金融RWA技術「ThingsToken™」が採用された。ThingsTokenは現実世界の資産(設備、デバイス、帳票、チケット等)をブロックチェーン上に記録するためのNFT技術であり、すでに日本酒の国内流通・輸出、大規模イベント参加者管理など複数分野で導入実績がある。両社は2025年2月13日に物流DXにおけるブロックチェーン技術活用の共同研究を開始しており、Bit Waybillはその約1年3カ月の研究成果である。従来の金融系ブロックチェーンとは異なり、物理資産(モノ)をデジタル空間で扱う設計が特徴である。
戦略的背景:物流2024年問題とフィジカルインターネット
本サービスの背景には、日本の物流業界が抱える深刻な構造課題がある。トラックドライバーの時間外労働上限規制(物流2024年問題)に対し、対策を講じなければ2024年度に約14%(約4億トン相当)、2030年度には約34%の輸送力不足が予測されている。経済産業省・国土交通省・農林水産省が共同で推進する「フィジカルインターネット実現会議」は、2040年までに荷物を標準化された単位で扱い、複数企業の物流網を共有して最適経路に流す共同物流網の構築を目指している。Bit WaybillはAPI連携を前提に設計され、WMS(倉庫管理)、TMS(輸配送管理)、配送管理など各種Webアプリケーションとの柔軟な連携を想定する。ロジザードは参加企業を広く募集し、企業の枠を超えて限られた輸送能力をシェアする「参加企業共有型データ基盤」として育てる方針を明確に示している。
【事業開発に関するインサイト】
- 「非金融RWA」が日本のWeb3実装の新たな主戦場として浮上:金融系のステーブルコイン・証券トークンに比べ、これまで実装が遅れていた「物(モノ)」を対象とした非金融RWA領域に、東証上場企業同士の連携で本格事例が登場した意義は大きい。ThingsTokenはすでに日本酒流通やイベント管理での導入実績を持ち、今後はサプライチェーン、製造業の部品トレーサビリティ、製品認証、二次流通市場(リユース・リセール)などへの応用拡大が見込まれる。RWA関連事業を構想する日本企業にとって、金融系より参入余地が大きい領域として注目すべきである。
- 「公共インフラ型データ基盤」モデルが業界横断SaaSの新潮流に:Bit Waybillの最大の特徴は、自社プロプライエタリな囲い込みではなく、参加企業共有型の「フラットで公共性の高いサービス」を目指す点である。これはブロックチェーンの本来的特性である「中立性」「改ざん耐性」「真正性」が、業界横断的なデータ基盤に最も適合する設計思想を体現する。物流以外にも、医療・教育・行政・建設など、複数ステークホルダー間でのデータ共有が必要な領域において、同様の「コンソーシアム型データ基盤×ブロックチェーン」のアプローチが拡大する可能性が高い。
- 物流業界DXは「単一企業効率化」から「業界横断接続」へ転換点:これまでの物流DXはWMS・TMS導入による個別企業の効率化が中心だったが、2024年問題による輸送力不足は単一企業内では解決できない構造課題である。Bit Waybillが象徴する「共通ID×ブロックチェーン×API連携」のアプローチは、企業間のデータ分断を解消する標準プロトコル層を形成する。商社・小売・EC事業者にとっては、自社の物流戦略を「囲い込み」から「共同利用」へとパラダイム転換する契機となり、共同配送・幹線輸送シェアリングへの早期参画が中期的なコスト競争力を左右する。
【引用:出典】
- Yahoo!ニュース/ネットショップ担当者フォーラム「ロジザードが始めるブロックチェーンを活用した共通デジタル荷札『Bit Waybill(ビットウェイビル)』とは?」https://news.yahoo.co.jp/articles/b74338a88c715ceb460370369b3982d6455d45b6
- ロジザード株式会社 プレスリリース「ロジザード、共通デジタル荷札『Bit Waybill(ビットウェイビル)』の提供を今秋計画」(2026年5月20日)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000342.000014943.html
- ぷらっとホーム株式会社 プレスリリース「ぷらっとホームのRWA技術『ThingsToken™』、ロジザードの共通デジタル荷札『Bit Waybill』の技術基盤に採用」https://www.plathome.co.jp/press-release/bwb_20260520/
- ネットショップ担当者フォーラム「ロジザードが始めるブロックチェーンを活用した共通デジタル荷札『Bit Waybill(ビットウェイビル)』とは?」https://netshop.impress.co.jp/n/2026/05/21/16106
- 経済産業省「フィジカルインターネット実現に向けた取組の進捗について」https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/physical_internet/pdf/2024_001_02_00.pdf
- 経済産業省「物流危機とフィジカルインターネット」https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/physical_internet/pdf/001_04_01.pdf
- LNEWS「フィジカルインターネットシンポ/2024年問題で課題の提起と解決策示す」https://www.lnews.jp/2025/02/r0217701.html
石田陽之(いしだあきひさ)
Cabinet株式会社 代表取締役
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