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暗号資産担保型ステーブルコイン
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事業開発
Ethereum
2026年10月15日

規制の外側で動き出した「円連動」 ― JPYdfが映す、暗号資産担保型ステーブルコインの日本での立ち位置

規制の外側で動き出した「円連動」 ― JPYdfが映す、暗号資産担保型ステーブルコインの日本での立ち位置

何が公開されたのか

2026年10月15日、JPY DeFiはイーサリアムのメインネットで公開されたと発表した。設計・開発を担うDeltaForesight株式会社は2025年9月設立で、9月25日にはCoral Capitalをリード投資家として累計3億2,400万円を調達している。リリース上、同社は発行体ではなく「設計・開発のコントリビューター」と位置づけられ、利用画面(フロントエンド)の運営はJPYdf Foundation DAO LLCが担う。

仕組み:担保を預けて円建てで借りる

JPY DeFiは、海外で実績のある分散型融資プロトコル「Liquity v2」を基に作られている。利用者がイーサリアム系資産のwstETH、またはドル建てステーブルコインのUSDCを担保として預けると、それに見合う額のJPYdfを借りられる。担保価値が一定の比率を下回ると清算される。清算の基準はwstETHで123.18%、USDCで111.58%である。

JPYdfの価値を1円付近に保つ中心的な仕組みは「償還」だ。誰でもJPYdfを「1JPYdf=1円」の換算で担保資産と交換できる。市場価格が1円を下回れば、安く買ったJPYdfを担保と交換して利益を得られるため、価格が1円に引き戻される。円とドルの換算にはChainlinkの為替データを使う。ただし、円での払い戻しは用意されていない。

開発側は、外部の監査会社2社による監査を公表している。借入・清算・償還の中核部分とJPYdf自体は後から書き換えられない設計で、特定の利用者の資産を凍結する機能も持たない。

法的な位置づけ:意図的に「電子決済手段」の外へ

リリースは、JPYdfを資金決済法上の「通貨建資産」ではない「暗号資産型ステーブルコイン」と明記している。法定通貨と引き換えに発行するものではなく、円での償還を請求する権利も表さない。ペッグも元本も保証されない。日本と米国の居住者には利用画面を提供せず、アプリとドキュメントは英語のみで用意されている。

日本の法制度では、法定通貨を裏付けとするステーブルコインは「電子決済手段」として銀行・資金移動業者・信託会社だけが発行できる。一方、暗号資産を担保とする型は、基本的に「暗号資産」として扱われる。JPYdfは後者の枠組みを選び、国内向けの提供を避けることで、海外のDeFi市場で使われる円建て資産を目指していると読める。

規模と課題

10月18日時点のイーサリアム上の記録では、発行総量は約9,365万JPYdf、保有アドレスは12にとどまる。公開直後で利用は限定的である。

課題は二つある。一つは、ペッグの安定性がイーサリアム価格と為替データに左右されることだ。為替データについては、週末・祝日は最終レートで据え置くことが定められている。もう一つは、発行主体の所在や運営体制の開示が限られていることである。国内居住者が対象外とされる中、日本発のプロジェクトが海外で円建て資産の流動性をどこまで作れるかは、まだ判断できない。

【事業開発に関するインサイト】

  1. 円建てのステーブルコインは、法定通貨裏付けの「電子決済手段」と、暗号資産担保の「暗号資産型」の二系統に分かれた。用途、規制、利用者層が異なるため、国内事業者は両者を同列に比較せず、どちらの系統の流動性に接続するかを明確に選ぶ必要がある。
  2. 海外のDeFi市場では、円建ての担保・決済資産の供給が乏しい。JPYdfのような円建て資産が育てば、海外の円キャリートレードや円建てデリバティブの基盤になりうる。為替ヘッジや円建て商品の組成者にとって注視すべき動きである。
  3. 日本居住者を対象外にする設計は、規制リスクを避ける現実的な選択である一方、国内事業者との連携は難しくなる。国内の暗号資産交換業者がこうしたトークンを扱うかどうかの判断が、国内流通の分岐点となる。

【引用:出典】

DeltaForesight「JPY DeFi、Ethereumメインネットで公開」(PR TIMES、2026年10月15日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000190693.html DeltaForesight 資金調達とJPYdf発行計画(PR TIMES、2026年9月25日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000190693.html あたらしい経済 https://www.neweconomy.jp/posts/617065 JPY DeFi ドキュメント https://jpydf.gitbook.io/jpy-defi JPY DeFi 担保資産 https://jpydf.gitbook.io/jpy-defi/collateral-and-pricing/collateral-assets.md JPY DeFi 償還 https://jpydf.gitbook.io/jpy-defi/borrowing-and-trove-management/redemptions.md JPY DeFi オラクル https://jpydf.gitbook.io/jpy-defi/collateral-and-pricing/oracle.md JPY DeFi 監査 https://jpydf.gitbook.io/jpy-defi/technical-information/audits-and-bug-bounty.md JPY DeFi 利用規約 https://jpydf.gitbook.io/jpy-defi/reference/interface-terms.md JPY DeFi コントラクトアドレス https://jpydf.gitbook.io/jpy-defi/technical-information/contract-addresses.md アンダーソン・毛利・友常法律事務所「ステーブルコイン規制」 https://www.amt-law.com/asset/pdf/bulletins2_pdf/230208.pdf ASCII(JPYC発行開始) https://ascii.jp/elem/000/004/336/4336809/

監修

石田陽之(いしだあきひさ)

Cabinet株式会社 代表取締役

2017年より、一貫してトークンやNFTの活用、ブロックチェーンゲームの企画・開発、NFTを活用した事業開発に従事。大手エンタメ上場企業を始め、80件以上のブロックチェーンプロダクトに対し事業責任者や設計、PM、アドバイザー等、様々な立場でブロックチェーン関連の事業開発に関わってきた。2021年よりCabinet株式会社を創業。

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