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2026年10月22日

自民党「サイバー有事前夜」提言 暗号資産追跡・耐量子暗号・DIDが国家安全保障の文脈に入った

自民党「サイバー有事前夜」提言 暗号資産追跡・耐量子暗号・DIDが国家安全保障の文脈に入った

提言の位置づけ

提言の正式名称は「サイバーセキュリティ対策の抜本的強化に関する提言〜サイバー有事前夜/AIのサイバー飽和攻撃に備えよ!〜」です。同本部が10月20日に取りまとめ、22日に党の正式提言となり、23日に首相へ申し入れられました。企業へのサイバー攻撃や大規模な個人情報流出が相次ぐ現状を「サイバー有事前夜」と位置づけ、AIによって攻撃が自律化・高度化している点に強い危機感を示しています。政府全体には、官邸主導の対処本部を司令塔とする体制を求め、上場企業の経営層には平時からの体制づくりを促しました。

AI攻撃への対抗策

国家サイバー統括室(NCO)向けの項目では、次世代AIモデルの悪用で攻撃が自律化・高度化するリスクを「Mythos問題」と表現しています。対抗策として、防御側もAIで脆弱性の早期発見と対処を進める「Project YATA-Shield」を掲げ、AIセーフティ・インスティテュート(AISI)と連携する方針です。米国の主要AI事業者と直接やり取りする窓口の設置も盛り込まれました。翌23日には赤沢経済産業相が、攻撃者の視点で対策を講じる「オフ・ホワイトハッカー」チームを11月中に情報処理推進機構(IPA)に設けると表明しています。政府全体の動きとして整合しています。

暗号資産:警察庁に追跡の実行を求める

暗号資産に直接触れているのは警察庁向けの項目です。FBIやユーロポールなど各国の法執行機関との国際共同捜査に主導的に参加し、犯罪インフラの無害化と、不正に取得された暗号資産の追跡を積極的に行うよう求めています。日本を狙う攻撃は割に合わないと示す抑止力が狙いです。

耐量子暗号:「早期の期限」を政府に求める

NCOに対しては、PQCへの移行を急ぐよう求めました。欧米主要国は影響の大きいシステムを2030〜31年頃までに移行するとされており、政府機関でも優先度の高いシステムについて早期の期限を設けるべきだとしています。総務省には、量子暗号通信(QKD)とPQCを組み合わせた二重の防護の社会実装を求めました。現在の公開鍵暗号は将来の量子コンピュータで破られるおそれがあり、ビットコインなどブロックチェーンの電子署名も同じ課題を抱えています。

デジタル庁:DID/VCとマイナンバーカード

デジタル庁の項目では、情報漏洩に強く改ざんに耐える「web3時代のトラスト基盤」として、DIDとVCの有用性を検証するよう求めています。2027年4月に犯罪収益移転防止法などに基づく本人確認でICチップの読み取りが原則となることを踏まえ、民間でのマイナンバーカード活用の加速と、カード取得を義務づけることの検討も盛り込まれました。金融庁は10月9日、本人確認書類の画像漏えいを受けて、暗号資産交換業者を含む金融機関にICチップ読み取りへの移行の前倒しを要請しています。本人確認を「書類の画像」から「署名された属性」へ移す流れは、政策の上でもはっきりしてきました。

金融庁:既存の要請を確実に実行

金融庁などに対しては、金融機関が経営陣の関与のもとで5月22日の要請文にある「短期的な対応」を着実に進めるよう促すことを求めました。業界横断のサイバー演習と、金融ISACを通じた脅威情報の共有の強化も挙げています。

【事業開発に関するインサイト】

  1. PQC移行に期限が設けられれば、金融機関とWeb3事業者は、カストディの鍵、バリデータの署名鍵、API認証、電子署名を含めて「どこでどの暗号を使っているか」を棚卸しする必要があります。暗号方式を切り替えやすい設計(暗号アジリティ)がない基盤は、移行コストが膨らみます。期限が出る前の棚卸しが最も安くつきます。
  2. マイナンバーカードのICチップ読み取りとDID/VCが結びつくと、本人確認は一度確認した属性を署名付きで再利用するモデルへ移ります。口座開設ごとに画像を集める運用は、漏えいリスクとコストの両面で不利になり、KYCの再利用や属性証明の仲介に新しい事業機会が生まれます。
  3. 国家が暗号資産の追跡を本格的に担うと、交換業者やウォレット事業者には、照会対応、凍結協力、オンチェーン分析の証跡保存といった運用の水準が求められます。こうした「法執行との接点」を整えておくことが、ライセンス事業者としての信頼性と競争力の差になります。

【引用:出典】

平将明衆議院議員公式サイト「サイバーセキュリティ対策の抜本的強化に関する提言」(2026年10月22日) https://www.taira-m.jp/2026/10/post-372.html 自由民主党「国家サイバーセキュリティ戦略本部が提言を申し入れ」(2026年10月23日) https://www.jimin.jp/news/policy/214454.html 自由民主党「現在は『サイバー有事前夜』サイバーセキュリティ対策へ提言取りまとめ」(2026年10月21日) https://www.jimin.jp/news/information/214417.html CoinPost「自民党、『サイバー有事前夜』と提言 暗号資産の追跡や耐量子暗号を明記」 https://coinpost.jp/?p=744293 あたらしい経済「自民党国家サイバーセキュリティ戦略本部、暗号資産の追跡強化を提言。耐量子暗号への移行加速も」 https://www.neweconomy.jp/posts/619956 NADA NEWS「自民党、『サイバー有事前夜』で対策強化を提言──不正取得された暗号資産の追跡も」 https://nadanews.com/387367 あたらしい経済「経産省、『オフ・ホワイトハッカー』チーム設立へ」 https://www.neweconomy.jp/posts/619915 CoinPost「金融庁、書類画像の漏えい受けIC読取前倒しを要請 暗号資産交換業者も」 https://coinpost.jp/?p=742056

監修

石田陽之(いしだあきひさ)

Cabinet株式会社 代表取締役

2017年より、一貫してトークンやNFTの活用、ブロックチェーンゲームの企画・開発、NFTを活用した事業開発に従事。大手エンタメ上場企業を始め、80件以上のブロックチェーンプロダクトに対し事業責任者や設計、PM、アドバイザー等、様々な立場でブロックチェーン関連の事業開発に関わってきた。2021年よりCabinet株式会社を創業。

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