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2026年10月21日

荷札がNFTになった ロジザード「Bit Waybill」が共同輸送の「誰の荷物か」問題を共通IDで解く

荷札がNFTになった ロジザード「Bit Waybill」が共同輸送の「誰の荷物か」問題を共通IDで解く

何が始まったのか

Bit Waybillでは、貨物に「BWB番号」という共通IDを付与し、既存の荷札情報とひも付けます。出荷、受け渡し、納品といった輸送履歴をBWB番号ごとに記録し、その証跡をブロックチェーン上で管理します。貨物ごとの情報をNFTとして扱うことで、複数の企業の間でもデータの真正性と唯一性を保ったまま共有できる、というのが会社側の説明です。API連携を前提に設計されており、WMS、輸配送管理システム(TMS)、配送管理システムなど既存のアプリケーションから情報を取得・活用できます。

物流業界の「分断」という課題

物流ではドライバー不足で輸送余力が縮んでいます。一方で、運送情報は企業ごとに分かれて管理されており、共同輸送や中継輸送の効率化を妨げる要因の一つになってきました。複数の運送会社がリレー形式で荷物を運ぶ場合、現在地や運送の責任者を企業をまたいで証明する仕組みがありませんでした。Bit Waybillは荷札情報を業界横断の共通基盤にすることで、輸送力を共有する「フィジカルインターネット」を支えるデータ層を目指しています。

想定している使い方は、複数企業による輸送情報の共有を通じた積載率の向上や空車の削減、中継輸送での運送会社間の情報連携、メーカー直送品と倉庫出荷品を横断した荷物管理などです。荷主、運送会社、倉庫事業者の納品情報を共通化すれば、改正物流効率化法への対応に必要な現状把握や中長期計画づくりのデータ収集にも使える、と会社側は説明しています。

技術基盤と共同研究の経緯

ThingsTokenは、設備、デバイス、帳票、チケットなど現実世界のモノをブロックチェーン上に記録して扱うためのNFT技術です。日本酒の流通・輸出や、大規模イベントの参加者管理などで導入実績があります。ロジザードとぷらっとホームは2025年2月に物流DXでの共同研究を始め、約2,000の物流現場で使われているクラウドWMS「ロジザードZERO」との組み合わせを検証してきました。2026年5月の構想公表、8月の公式サイト公開、9〜10月の展示会出展を経て、今回の正式提供に至っています。

投資フェーズとしての位置づけ

注目すべきは、ロジザードが短期的な収益化を前提にしていないことです。同社は2027年6月期にBit Waybill事業で7,500万円の営業損失を見込んでいます。2027年6月期から2029年6月期の3年間を投資フェーズと位置づけ、市場の形成と利用者基盤の拡大を優先する方針です。会社全体では、2027年6月期の売上高を前期比15.3%増の28億800万円、営業利益をほぼ横ばいの4億400万円と見込んでいます。既存のWMS事業の利益で新規事業の先行投資を吸収する構図です。

普及の条件

共通基盤は、参加する企業が増えるほど価値が高まる一方で、初期の参加者にとっては効果が見えにくいものです。今後は荷主、運送会社、アプリベンダーの参加をどこまで広げられるか、そしてWMSベンダーが主導する基盤に競合他社のユーザーが参加するかどうかが、普及を左右します。

【事業開発に関するインサイト】

  1. 共通IDの基盤で最も難しいのは技術よりも「中立性」です。特定のWMSベンダーが主導する基盤に、競合システムを使う荷主や運送会社が参加するかどうかが普及の分かれ目になります。運営の仕組みを分ける、データの所有権を明確にする、オープンなAPIにするといったガバナンス設計が、ネットワーク効果の上限を決めます。
  2. 改正物流効率化法が求める現状把握と計画づくりは、共通荷札データへの「規制対応としての需要」を生みます。技術の新しさではなく、義務を果たすための道具として導入を勧められる点が、非金融ブロックチェーンが実際に普及するための現実的な道筋です。
  3. BWB番号に蓄積された輸送実績は、改ざんされにくい記録です。将来は運賃の早期支払い(ファクタリング)、動産担保融資、運送事業者の信用評価など、金融サービスへの接続材料になります。物流データと金融の境界に、新しい事業機会が生まれます。

【引用:出典】

LOGISTICS TODAY「ロジザード、共通デジタル荷札を正式提供開始」(2026年10月21日) https://www.logi-today.com/1013512 ぷらっとホーム株式会社プレスリリース「ThingsToken、ロジザードの共通デジタル荷札『Bit Waybill』の技術基盤に採用」(2026年5月20日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000183.000013751.html LOGISTICS TODAY「ロジザード、共通デジタル荷札を今秋提供」(2026年5月20日) https://www.logi-today.com/953196 LOGISTICS TODAY「ブロックチェーンで実現する企業横断の輸送シェア」(2026年10月1日) https://www.logi-today.com/1006011 LNEWS「ロジザード/運送情報をつなぐ『共通デジタル荷札』公式Webサイト公開」 https://www.lnews.jp/2026/08/s0827502.html マネーポスト(企業調査レポート) https://www.moneypost.jp/1451105 日立製作所プレスリリース(ThingsTokenとBioSSI技術の連携実証) https://www.hitachi.com/ja-jp/press/articles/2025/10/1002a

監修

石田陽之(いしだあきひさ)

Cabinet株式会社 代表取締役

2017年より、一貫してトークンやNFTの活用、ブロックチェーンゲームの企画・開発、NFTを活用した事業開発に従事。大手エンタメ上場企業を始め、80件以上のブロックチェーンプロダクトに対し事業責任者や設計、PM、アドバイザー等、様々な立場でブロックチェーン関連の事業開発に関わってきた。2021年よりCabinet株式会社を創業。

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