レポート一覧に戻る
2026年04月19日

国民民主党の玉木代表がハイパーリキッド(Hyperliquid)に言及。BitFlyer加納CEOとDEX規制巡り議論

国民民主党の玉木代表がハイパーリキッド(Hyperliquid)に言及。BitFlyer加納CEOとDEX規制巡り議論
国民民主党代表の玉木雄一郎氏が、4月15日にX(旧Twitter)で分散型金融(DeFi)プロトコル「Hyperliquid」を取り上げたことをきっかけに、日本における分散型取引所(DEX)規制のあり方を巡る議論が急速に広がった。玉木氏の投稿は「創業3年、従業員たった11人で年間利益9億ドル(約1,400億円)」 neweconomyとハイパーリキッドの急成長を紹介し、オンチェーン金融の可能性を示す事例として注目を集めた。 これに対し国内大手暗号資産取引所ビットフライヤー代表取締役の加納裕三氏が翌4月16日に反論。日本では暗号資産交換業者がDEXを運営することは禁じられていること、Hyperliquidの利便性は「法令を遵守していないことによる部分が大きい」、本人確認(KYC)やマネーロンダリング対策(AML)が行われていない点を問題視し、合法化されるなら自身もDEX開発に参入する neweconomyとの考えを示した。 玉木氏は4月17日に追加投稿で対応。日本の現行規制は投資家保護の観点で厳格に設計されている一方、DEXに関するルールは未整備であると認識を示し、DEX対応のルール整備を進めて関連事業を国内に取り込む必要性 neweconomyを主張した。加納氏も再反論で、現状では外国事業者のみが事実上、日本居住者向けにこうしたサービスを提供できている構造こそが問題の本質であり、①国内でのDEXビジネス解禁、②外国事業者にも規制適用、のいずれかの政策判断が必要との見解を示した。 議論の背景には、米国の規制スタンス変化がある。Uniswap Labsが2024年4月にSECから「ウェルズ通知」を受けたが、トランプ政権発足後の2025年2月にSECは調査終了を決定。2026年4月にはSEC取引・市場局が、一定条件下でDeFiフロントエンド提供者がブローカーディーラー登録の対象とならない可能性を表明 neweconomy。Hyperliquid自体もDEXデリバティブ市場でシェア60%超、パーペチュアル先物市場では2025年8月〜2026年1月の半年間で累計1.59兆ドルの取引高を記録し、トップ10取引所に唯一のDEXとしてランクイン BeInCrypto Japanする規模に達した。日本が制度的空白を放置すれば、オンチェーン金融における産業競争力と税収基盤の双方を失うリスクが顕在化しつつある。 ## ## 事業開発インサイト ## ## ① 「越境DEX規制ギャップ」こそが日本の最大の政策課題 ── 国内事業者への機会喪失が既に始まっている 議論の核心は「技術論」ではなく「産業空洞化のリスク論」にある。加納氏の指摘通り、現在日本居住者が利用できる高機能DEX(Hyperliquid、Uniswap等)はすべて海外事業者が提供するもので、手数料収益・税収・人材・データがすべて国外へ流出している。bitFlyer・coincheck・SBI VC Trade等の国内交換業者はDEX事業を禁じられ、グローバル競争の舞台に立てない。 事業開発への示唆: - 金融庁・財務省・経産省に対する業界ロビーイングが今後1年で本格化する公算。現在の資金決済法・金商法の枠組みを前提としない「DEX型交換業ライセンス」新設の議論が政策アジェンダ化する可能性 - 国内大手金融機関・証券・暗号資産交換業者は、「ライセンス解禁を前提にしたDEXプロダクトの準備研究」に今から着手する合理性が高まる(解禁時のファーストムーバー優位) - XRPレジャーの許可制DEXや、韓国の規制サンドボックス型アプローチ(今回のトークン化預金パイロットと同様)は、日本の移行パス設計の参考モデル ## ## ② 「KYC/AML統合型DEX」=規制整合と分散型技術の両立が、国内事業者の勝ち筋 加納氏が「合法なら自分も参入する」と明言した点は象徴的だ。国内事業者にとっての勝ち筋は、「完全分散型・完全匿名」のHyperliquid型ではなく、「KYC/AMLを技術で内包した、規制整合型DEX」の構築にある。これは前話でのTempo Zones(Stripe/Paradigm)、XRPレジャー許可制DEX、サークル(USDC)の方向性と一致する構造的トレンドで、「オンチェーン取引の利便性 + 監督可能性」のハイブリッド設計が機関投資家・規制当局の支持を得やすい。 事業開発への示唆: - ウォレットレベルKYC + オンチェーン取引の組み合わせ(Privacy-Preserving Compliance)は、ZKPやWorld IDのような「Proof of Human」技術の応用領域 - 日本発のイニシアチブとしては、JPYC・DCJPY等の国内ステーブルコインを基軸とした、規制準拠型DEXパイロットを金融庁サンドボックス内で立ち上げる構想が現実的 - B2B・機関投資家向けDEX(トークン化RWA、トークン化社債、FX永久先物等)は、コンプライアンス要件が消費者向けより明確で、先行領域として狙いやすい ## ## ③ "政治×業界"の対話が可視化されたこと自体が転換点 ── 政策形成への早期参画が次の競争軸 今回の玉木氏⇔加納氏のX上の公開対話は、日本の暗号資産政策議論が「金融庁の有識者会議」から「政治家と経営者の公開議論」へと開かれた初めての顕著な事例だ。「これまで金融庁の有識者会議などでDeFiに関する議論が行われてきたが、責任主体の所在やマネロン対策などが主要論点とされ、明確な制度枠組みは確立されていない」 neweconomy状況が、世論・SNS・政党レベルでの議論に拡張された。 事業開発への示唆: - 2026年参議院選挙を控え、仮想通貨・Web3政策が政党の差別化ポイントになる可能性。国民民主党に加え、自民党Web3PTや日本維新の会のデジタル政策と連動した「業界提言」の窓が開いている - JCBA(日本暗号資産ビジネス協会)、JVCEA、Web3Xperts、Japan Blockchain Weekなどの業界団体への参画・寄稿・ロビーイングの事業投資対効果(ROI)が高まる局面 - メディア発信力(X、note、YouTube、Podcast)を持つ経営者・キーパーソンが政策議論を直接動かせる時代。経営者個人のブランディングが会社の規制リスク・機会に直結する構造が鮮明化 - 日本企業にとっては、単独ロビーではなく「日本発グローバルDEX」構想の業界横断アライアンス(ステーブルコイン発行体+交換業者+L1ブロックチェーン+ウォレット事業者)が、規制解禁と同時に立ち上がる主体として機能する可能性
監修

石田陽之(いしだあきひさ)

Cabinet株式会社 代表取締役

2017年より、一貫してトークンやNFTの活用、ブロックチェーンゲームの企画・開発、NFTを活用した事業開発に従事。大手エンタメ上場企業を始め、80件以上のブロックチェーンプロダクトに対し事業責任者や設計、PM、アドバイザー等、様々な立場でブロックチェーン関連の事業開発に関わってきた。2021年よりCabinet株式会社を創業。

免責事項

本レポートは、暗号資産および関連市場に関する情報提供のみを目的として作成されたものであり、特定の暗号資産の購入、売却、保有その他一切の取引行為を推奨・勧誘するものではありません。また、金融商品取引法その他の関連法令に定める投資助言、投資勧誘、または金融商品の販売・媒介に該当するものではなく、税務・法務・会計上の助言を構成するものでもありません。

本レポートに記載された情報は、作成時点において信頼できると判断した情報源に基づいておりますが、その正確性、完全性、最新性、有用性等について当社は何ら保証するものではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本の毀損その他の損失が生じるリスクを伴います。投資判断は、利用者ご自身の責任と判断において行っていただくものとし、本レポートの利用に起因して生じたいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いかねます。

ブロックチェーン新規事業のご相談

Cabinetでは、アイデア段階からの壁打ち、技術検証(PoC)、そして実装・運用まで一気通貫で伴走する事業開発コンサルティングを提供しています。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

ニュースレターに登録する

本レポートに掲載した内容に加え、業界の最新情報・未公開レポートをメールでお届けします。