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2026年05月07日

「トークン化国債(TJGB)×オンチェーン・レポ」始動 ― Progmat主導の42組織連合がT+0・24/365決済を狙う

「トークン化国債(TJGB)×オンチェーン・レポ」始動 ― Progmat主導の42組織連合がT+0・24/365決済を狙う

主体と全体像

本構想の事務局はProgmat(プログマ、東京・千代田)が務める。Progmatは三菱UFJ信託銀行から派生し2023年10月に独立、3メガなどの出資を受ける独立系インフラ事業者で、国内ST市場で累計発行額シェア64%、利用仲介者10社のトップシェアを持つ。WGの正式名称は「トークン化国債・オンチェーンレポワーキンググループ」で、2026年5月にキックオフ、2026年10月に報告書公表、2026年内にTJGB組成プロジェクト開始というスケジュールが明示されている。

参加組織と座組み

代表(齊藤達哉氏)公開の資料によれば42組織以上が参加する。金融事業者として3メガバンク、東京海上ホールディングス、大和証券、SBI証券、ブラックロック・ジャパン、ステート・ストリート信託銀行が中心。注目すべきはブロックチェーン技術側で、Canton Network(Digital Asset Holdings)、Ava Labs(Avalanche運営)、Datachain、Secured Finance AGといったパブリックチェーン関連事業者が技術選定の中核を担うこと。Secured Financeはすでに外国法域で円建てSCを用いたオンチェーンレポを提供しているレンディングプロトコル企業、Cantonは米国債オンチェーンレポ(2025年8月、Bank of America・Citadel Securities・DTCC等が参加)やDTCの米国債トークン化(2025年12月発表、2026年前半MVP)の採用実績がある。齊藤氏は「日本独自のガラパゴスにならないよう、パブリックチェーン前提で議論を深める」と明言した。

対象市場の規模感

金融安定理事会(FSB)が2026年2月公表のレポートによれば、国債担保のレポ市場は2024年末時点で約16兆ドル(約2,560兆円、1ドル160円換算)、2022年比+20%成長で、日本市場が世界全体の約10%(250兆円超)を占める。日本銀行の2025年8月レポートでは、国内レポ市場は2010年以降取引残高が増加し、特に2022年以降に大幅拡大、非居住者(海外ヘッジファンド等)の円資金運用ニーズが牽引していると指摘されている。

技術スキーム

齊藤代表が公表した初期仮説では、TJGBは「振替国債に紐づく権利のトークン化」が軸。対象国債は国債カストディアン管理下から動かさず、その権利をブロックチェーン上で扱う。決済はステーブルコインで行い、レンディングプロトコルが24時間自動稼働。現行のT+1決済(営業日縛り)を、オンチェーン・レポではT+0・常時化することで、機関投資家にとっての「イントラデイ・アルファ(日中の資金効率)」を最大化し、日跨ぎしないことでバーゼル規制上のリスクウェイト・レバレッジ規制適用を回避できる柔軟性を狙う。法制面では国債登録制度・振替制度・信託ラップ・債権表章のいずれを採るか複数オプションを並行検討する設計。

【事業開発に関するインサイト】

  1. 「機関投資家のイントラデイ取引」が次のフロンティア:本件の最大の付加価値は「ポジションが日跨ぎしないこと」によるB/S影響回避とバーゼル規制の柔軟運用にある。これは個人向けの不動産STとは構造的に異なる訴求軸であり、ヘッジファンド・銀行ALM・証券ディーリング部門のフロー業務に新しいアルファ機会を開く。日中流動性ソリューション、リアルタイム担保管理、SC↔TJGB変換ゲートウェイなどB2B特化フィンテックに大きな機会領域が出現する。
  2. 「パブリックチェーン前提」で設計される機関向けインフラは過去20年で初:齊藤代表が明示的にAvalancheやCanton Networkの参加を強調した点は重要である。日本の金融市場インフラは従来、許可型の閉じた構成が原則であった(日銀ネット、ほふり、JPX)が、オンチェーン・レポWGはここを解き放つ可能性がある。米国DTCCがCantonを採用し、欧州Euroclearも同財団の共同議長を務める情勢を踏まえ、グローバル機関マネーが日本市場にアクセスする際の「橋」として位置付けられている。RWA関連プロダクトを構想する事業者は、日本市場参入時にCanton/Avalancheどちらに最適化するかが事業設計の決定変数となる。
  3. DCC(315社)への加入が日本オンチェーン金融のエコシステム参入条件化:オンチェーン完結型ST WG(2025年)→トークン化株式WG(2025年)→TJGB×オンチェーンレポWG(2026年)と、Progmatは段階的にMMF→株式→国債と機関投資家ポートフォリオの主要資産クラスをオンチェーン化する戦略を着実に進めている。WG参加なくして個別案件の組成・販売は事実上難しい構造になりつつあり、デジタルアセット領域で事業を行う企業は早期のDCC加入と各WGへの主体的関与を経営アジェンダ化する価値がある。米国中間選挙(2026年)の動向次第では米側政策が停滞するリスクもあるが、日本側は2026年通常国会での金商法改正(暗号資産含む)と並走しながら独自の進化軌道を持つ。

【出典】

監修

石田陽之(いしだあきひさ)

Cabinet株式会社 代表取締役

2017年より、一貫してトークンやNFTの活用、ブロックチェーンゲームの企画・開発、NFTを活用した事業開発に従事。大手エンタメ上場企業を始め、80件以上のブロックチェーンプロダクトに対し事業責任者や設計、PM、アドバイザー等、様々な立場でブロックチェーン関連の事業開発に関わってきた。2021年よりCabinet株式会社を創業。

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