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2026年05月12日

Circle、ARCトークンのホワイトペーパー公開と2億2,200万ドルのプレセール完了——「経済OS」構築へ本格始動

Circle、ARCトークンのホワイトペーパー公開と2億2,200万ドルのプレセール完了——「経済OS」構築へ本格始動

Arcの設計思想:ステーブルコインネイティブな「経済OS」

Arcは2025年8月に発表され、同年10月に公開テストネットを開始したEVM互換のパブリックL1である。最大の特徴は、USDCをネイティブガストークンとして採用し、ドル建ての予測可能な手数料を実現する点にある。Malachiteコンセンサスエンジンによるサブ秒の確定性、機関投資家向けのRFQ方式FXエンジン、選択的なプライバシー機能、量子耐性ウォレットを備える。テストネットは2026年5月5日時点で2億4,400万件超のトランザクションを処理し、100以上の機関が参加。メインネットは2026年夏のローンチが予定されている。

ARCトークン:ネットワークの協調レイヤー

ホワイトペーパーによれば、ARCはステーブルコイン(取引媒体)とは役割を分離した「ネットワーク協調資産」と位置付けられる。総発行量は100億枚で、配分はCircleが25%(バリデータ運用・ステーキング用)、ネットワーク参加者・貢献者へ60%、長期リザーブへ15%。機能はステーキング、ガバナンス(手数料率・インフレ率・バーンロジック等の経済パラメータ投票)、手数料メカニクス(ステーブルコイン手数料をARCに変換しバリデータ・ステーカーへ分配、一部はバーン)、プラットフォーム横断のユーティリティの4つ。当初のProof-of-Authority(PoA)からProof-of-Stake(PoS)への移行が計画されており、移行期限は2028年5月8日に設定されている。

大型調達の意味:上場企業初のトークンプレセール

プレセールでは7億4,000万ARCが1枚0.30ドルで販売された。a16z cryptoが7,500万ドルでリード投資家を務め、BlackRock、Apollo Funds、ICE、SBI Group、Janus Henderson、Standard Chartered Ventures、ARK Invest、Bullish等が参加。投資家にはPoS移行後最低1年、最大4年のロックアップが課される一方、2028年5月8日までにトークン交付およびPoS移行が完了しない場合の償還請求権が付与されている。Circleの2026年第1四半期決算では売上高が前年同期比20%増の6億9,400万ドル、USDC発行残高は28%増の770億ドル、オンチェーン取引高は263%増の21.5兆ドルに達した。Arcは、Allaire CEOが言う通り「価値の表現だけでなく経済そのものを動かす」インフラとして、CircleのUSDC依存からの脱却と、機関投資家マネーの取り込みを同時に狙う戦略的布石である。

【事業開発に関するインサイト】

  1. ステーブルコイン発行業のコモディティ化リスクへの先回り防衛:米国でステーブルコイン法案が進展する中、銀行・フィンテックの参入で発行業の差別化が困難になる懸念がある。Circleはインフラ層を自社で押さえる「縦の統合」により、USDCがEthereum・Solana等の外部チェーンに依存する構造的脆弱性を解消し、長期的な経済価値の取り込みを図っている。
  2. TradFiとAIエージェント経済の交差点というポジショニング:BlackRock、Apollo、ICE、Standard Chartered等のWall Street大手がプレセール参加した事実は、トークン化資産・機関金融の本命インフラを賭けたものと解釈できる。Arcは決済・FX・資本市場に加え、AIエージェント決済(Agent Stack)も射程に入れており、機関金融とエージェント経済の双方を取り込むハイブリッド戦略を採用している。
  3. 上場企業によるトークン経済導入のテンプレート化:Circleは公開企業初のトークンプレセールを実施し、株式(CRCL)とトークン(ARC)のデュアル資本構造を構築した。償還請求権付き条件やPoS移行期限といった投資家保護スキームは、今後上場企業がトークン発行に踏み出す際の規制対応・契約設計のリファレンスケースとなり得る。

【出典】

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