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2026年05月14日

HyperliquidがUSDHを畳みUSDCへ回帰──Coinbase主導の「AQAv2」が映すステーブルコイン経済の新均衡

HyperliquidがUSDHを畳みUSDCへ回帰──Coinbase主導の「AQAv2」が映すステーブルコイン経済の新均衡

AQAv2が描く新たな取引基盤の経済モデル

5月14日、CoinbaseはHyperliquid独自枠組み「Aligned Quote Asset(AQA)」の第2版を主導する公式デプロイヤーに就任すると発表した。USDC発行元のCircleは、CCTP(クロスチェーン送金プロトコル)を通じたミント/償還とクロスチェーン基盤を担う技術デプロイヤーとなる。両社ともAQAv2の有効化に向けてHYPEトークンをステーキングし、Circleは新たに50万HYPEを追加。HIP-1からHIP-4までの全市場でUSDCがクオート資産として統一され、無期限先物・スポット・予測市場(HIP-4)まで一本のドルレールに集約される設計である。

USDHが歩んだ8カ月──「ネイティブ」が頓挫した背景

USDHは2025年9月14日のバリデータ投票(HYPEステーク加重)でNative Marketsが選定され、9月24日にローンチした。PayPal/Venmo統合と95%の利回り還元を提示したPaxos、撤退したEthena、Frax、Sky、Agora、BitGoらが並ぶ激戦の中、Native Marketsは50%還元という不利な条件にもかかわらず、「Hyperliquid生え抜き」という共同体的アライメントで勝利。準備金はBlackRock(オフチェーン)とStripe傘下のBridge/Superstate(オンチェーン)で管理する設計だった。

しかし8カ月後の現実は冷徹だった。USDH供給量は約1億ドルで頭打ち、対するUSDCは前年比2倍超の約50億ドルまで膨張した。深い流動性、規制実績、クロスチェーン互換性で築かれたUSDCの優位は崩れず、USDHは「クオート資産の分断」というユーザー体験の悪化のみを残した。

なぜUSDCに戻すのか──実利を取った選択

新枠組みの最大の妙は、USDHが切り拓いた利回り共有モデルをCoinbase側がそのまま引き継いだ点にある。USDC準備金収益の約90%がHYPEバイバックとアシスタンスファンドへ環流され、現行のフェデラルファンド金利水準で年約1.8億ドル(約288億円)規模の流入が見込まれる。Hyperliquid側ではプロトコル収益が22〜26%押し上げられる試算だ。市場では「インカンベントがテーブルに着いた」と評価する声と、「インカンベントがテーブルごと買い取った」と皮肉る声が交錯する。いずれにせよ、独自ブランドを手放す代わりに、USDCの流動性深度とCoinbaseのフィアットオン/オフランプを丸ごと取り込む実利的判断と言える。

【事業開発に関するインサイト】

  1. 「発行権」は「主導権」ではない──ネットワーク固有ステーブルコインを立ち上げても、既存の流動性・規制信頼・クロスチェーン基盤を備える巨人を逆転するのは極めて難しい。Native Markets敗北の本質は技術や条件ではなく、ネットワーク効果に対する過小評価だった。Web3新規参入においては、「最初から既存大手と協業する」という選択肢の経済合理性を再評価すべきである。
  2. 利回り共有がステーブルコインの新「業界標準」へ──USDHが先行して確立した「プロトコルへの利回り還元」モデルは、いまや既存大手CircleとCoinbaseも受け入れざるを得ない競争条件となった。今後、他のDEXやL1も同様の交渉カードを切る可能性が高く、ステーブルコイン発行体側のマージン構造は構造的に圧縮されていく。
  3. 取引所×発行体×L1の垂直統合が加速──CoinbaseがHYPEをステーク、Circleがバリデータ化、USDCがHIP-4予測市場のクオートに組み込まれる構図は、取引基盤・発行体・ブロックチェーン経済圏の境界を融解させている。ステーブルコインは「独立した金融商品」ではなく、「取引インフラの不可分なレイヤー」へと位置付けが変化しつつある。

【引用:出典】

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