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オンチェーン金融
2026年07月16日

SBI×Ondo提携の全体像——「日本株を世界へ、世界のトークンを日本へ」双方向コリドーとJPYSC決済の構想

SBI×Ondo提携の全体像——「日本株を世界へ、世界のトークンを日本へ」双方向コリドーとJPYSC決済の構想

提携の骨子:4つの協業領域と「双方向」の設計

発表によると両社の協業は、(1)日本株を含む国内資産のトークン化と、Ondoのオンチェーンプラットフォームを通じた海外投資家への提供、(2)Ondoが扱う海外トークン化商品(米国株・ETF連動トークン等)のSBIグループ顧客基盤を通じた国内展開の検討、(3)トークン化商品のオンチェーン決済・担保としてのJPYSC活用の検討、(4)相互のプロモーションと販路連携、という構図で整理できる。トークン化商品はOndo Global Markets(BVI)Limitedが発行主体となる。注目すべきは、単に海外商品を輸入するのでも国内資産を輸出するのでもなく、双方向の「コリドー(回廊)」として設計されている点だ。北尾吉孝会長兼社長はOndoを「デジタルアセットのグローバルコリドーに向けた極めて重要なパートナー」と位置づけ、Ondoのイアン・デ・ボードCEOも「日本は世界で最も洗練された資本市場の一つであり、SBIはその中心にいる」と応じている。

Ondo Financeとは:株式トークン化で世界最大級のプレイヤー

Ondoは米国債や株式をトークン化してブロックチェーン上で提供する企業で、12のブロックチェーンにまたがり預かり資産(TVL)は約36億ドルに達する。米国株・ETFに連動する「Ondo Stocks」を運営し、直近ではブラックロックのS&P500 ETF等を対象に、米SEC準拠の第三者カストディモデルによるトークン化証券を投入した。さらに本提携発表の前日には、米国の証券決済インフラを担うDTCCとの協業も発表しており、伝統金融の中枢との接続を急速に進めている。発表を受けてONDOトークンは24時間で約15〜17%上昇し、市場の期待の大きさを示した。

JPYSCという「決済の要」:発行3週間での大型提携

本提携の実務上の鍵はJPYSCだ。SBI新生信託銀行が発行しSBI VCトレードが流通を担う国内初の信託型円建てステーブルコインで、6月24日に発行が始まったばかりである。改正資金決済法上の電子決済手段として大口送金の上限がなく、主にEthereum上で稼働する。発行からわずか3週間で国際的なトークン化提携の決済・担保レイヤーに指名された事実は、JPYSCが当初から機関投資家ユースケースを想定して設計されていたことを示唆する。なお、JPYSC活用は現時点で「検討」段階であり、商品化の時期や対象銘柄は今後の発表を待つ必要がある。

SBIの布石の連鎖:7月に集中する発表ラッシュ

本提携は単発ではない。7月15日には暗号資産を金融商品と位置づける金商法改正案が成立し、同日にSBI出資先のDigiFTが日本株運用をオンチェーン化する「JXトークン」を発表、SBI・DigiFT・Startaleによるトークン化日本株ファンドのJPYSC決済実証も公表された。6月にはDeFi貸付大手Morphoへの出資も行っている。「資産のトークン化(Ondo・DigiFT)」「決済(JPYSC)」「貸付・運用(Morpho)」という三層を一気に揃える動きであり、規制整備と歩調を合わせたフルスタック構築が鮮明だ。詳細は8月のWebX2026でOndoとSBI Onchainの対談セッションでも語られる予定である。

【事業開発に関するインサイト】

  1. 「双方向コリドー」は国内証券・運用会社への競争圧力にも機会にもなる:海外投資家が日本株トークンに直接アクセスできる経路が生まれる一方、国内投資家には米国株トークンという新商品が流入する。既存の証券会社・運用会社は、トークン化商品の取扱い・カストディ・税務対応をどの陣営と組んで整備するかの選択を迫られる局面に入った。
  2. ステーブルコインの勝敗は「決済ユースケースの先取り」で決まる:JPYSCは発行直後に大型提携の決済レイヤーに組み込まれた。円ステーブルコイン競争(JPYC等との比較)では、発行量よりも「何の決済に使われるか」の実需獲得が評価軸となることを示しており、後発事業者はニッチな決済領域(不動産、ゲーム、貿易金融等)の先行確保が対抗軸となる。
  3. 発行主体がBVI法人である点は規制アービトラージと国内制度整備の両面で注視が必要:トークン化商品の発行がOndo Global Markets(BVI)経由となる構造は、日本の金商法・資金決済法の枠外で組成し海外投資家に届ける現実解だが、金商法改正で暗号資産が金融商品と位置づけられた今後は、国内発行スキームへの移行余地や当局の対応が事業機会の分水嶺となる。

【引用:出典】

監修

石田陽之(いしだあきひさ)

Cabinet株式会社 代表取締役

2017年より、一貫してトークンやNFTの活用、ブロックチェーンゲームの企画・開発、NFTを活用した事業開発に従事。大手エンタメ上場企業を始め、80件以上のブロックチェーンプロダクトに対し事業責任者や設計、PM、アドバイザー等、様々な立場でブロックチェーン関連の事業開発に関わってきた。2021年よりCabinet株式会社を創業。

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