琴平町、金刀比羅宮参道365段の「石段オーナー権利」をNFT証明付きで販売 あるやうむの自治体RWAプラットフォーム「TOKKEN」で1枠5万円・限定40枠

商品の中身:所有ではなく「5年間の記名権」
対象は金刀比羅宮の参道のうち、大門までの1段目から365段目である。御本宮までは785段、奥社までは1,368段とされ、大門が365段目にあたる。購入者は誕生日や記念日などに合わせて段を1つ選び、その段に名前入りの掲示シールが設置される。階段の仕様上、145段目、248段目、352段目は対象外で、連続する段の申込は1購入あたり5段までに制限される。掲示できるのは個人名か法人名のみで、ロゴ、URL、電話番号、宣伝文は認められない。申込期間は2026年10月7日正午から11月20日23時59分まで、掲示は2027年1月中旬から順次始まり、同月末頃の完了を予定する。リリースと販売ページは「オーナー」を愛称と明記し、石段の所有権や占有権ではないと説明している。
販売スキーム:事前審査制の直接販売とNFT証明
手続きは、TOKKENの商品ページからの事前相談、希望段と掲載名の提出、内容承認、承認通知から10日以内の購入、シールの製作・設置と写真送付の順に進む。同じ段に申込が重なった場合は、購入を完了した順に確定する。販売ページは、本商品がふるさと納税の返礼品ではないことを明記している。したがって寄附金控除の対象にはならず、返礼品の調達費を寄附額の3割以内とする上限規制もかからない、通常の売買となる。NFTは石段オーナーであることを記録するデジタル証明書と位置づけられ、記名権とNFTはいずれも譲渡できない。発行後の返品やキャンセルもできない。一方、使用するブロックチェーン、ウォレットの要否、決済手段は、リリースにも販売ページにも記載がない。TOKKENの利用規約は、提供者であるあるやうむが代金を代理受領し、提供者または地方公共団体が売主となり得ると定めている。
あるやうむとTOKKENの位置づけ
あるやうむは2020年11月設立の札幌のスタートアップで、国内で初めてふるさと納税の返礼品としてNFTを提供し、これまでに26自治体で返礼品を提供してきた。2024年5月時点の累計調達額は約1億7,800万円と報じられている。2025年7月には富山県舟橋村、琴平町、北海道むかわ町と、地域固有の価値をNFTで販売する取り組みを開始し、同年11月にTOKKENを「自治体向けRWAプラットフォーム」として正式に立ち上げた。琴平町はすでに旧金毘羅大芝居の「せり」体験権(1枠50万円)や温泉の利用パスを出品しており、今回の石段オーナーは同町にとって3件目以降の権利型商品にあたる。
規模感と論点
40枠がすべて売れた場合の総額は200万円で、1枠あたり年1万円の記名料に相当する。人口約8,500人の町にとって大きな財源ではないが、年間200万人以上とされる参拝・観光客が通る参道の「場所」を、在庫を持たずに商品化した点に意味がある。2021年に新潟県長岡市の山古志地域がEthereum上で錦鯉NFTを発行し、人口約800人に対して1,500人超のデジタル村民を集めた事例と比べると、今回はデジタル資産そのものではなく物理的な掲示の権利が主で、NFTは証明書という従属的な役割にとどまる。また、販売者は町だが、リリースには金刀比羅宮の承認や関与の記載がない。宗教法人の境内と町の管理地の境界、公金と宗教活動の分離、掲示物の管理責任について、購入前に確認したい法人は少なくないだろう。
【事業開発に関するインサイト】
- 自治体の新たな財源は、ふるさと納税の外側での「権利の直接販売」に広がりつつある。返礼品の3割規制やポータルサイトのポイント付与禁止が強まるなか、寄附ではなく売買として設計すれば価格設定とリピート設計の自由度が増す。ただし税控除というインセンティブがなくなるため、商品そのものの体験価値と希少性で売り切る力が問われる。
- NFTを譲渡不可の証明書に限定する設計は、資金決済法や金融商品取引法の論点、転売トラブルを避ける現実的な選択である。その一方で、ブロックチェーンを使う理由は薄くなる。企業がこうした枠を活用する際は、NFTに投資性や流通性を期待せず、記念性と記録の改ざん耐性を主な価値として評価するのが妥当である。
- 物理的な場所を記名権として販売するモデルでは、権利者の同意が商品の成否を左右する。土地や施設の管理者、宗教法人、景観規制の関係者の同意を事前に文書化し、販売ページで開示することが、自治体案件で信頼を得るための最低条件になる。プラットフォーム事業者にとっては、権利者の同意確認と開示のプロセスを標準化して提供すること自体が差別化要因になり得る。
【引用:出典】
金刀比羅宮の参道365段に、自分の名前を刻む。「石段オーナー権利」を限定40枠で販売開始(株式会社あるやうむ) — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000381.000091165.html TOKKEN 商品ページ「金刀比羅宮参道365段 石段オーナー権」 — https://tokken.alyawmu.com/product/bbe7c1de-2c0c-4af6-9754-ed3bf9fac3e9 TOKKEN 利用規約 — https://tokken.alyawmu.com/terms 初の自治体向けRWAプラットフォーム TOKKEN開始(ASCII.jp) — https://ascii.jp/elem/000/004/352/4352274/ 琴平温泉 湯元八千代 日帰り入浴パスをTOKKENで販売開始(株式会社あるやうむ) — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000303.000091165.html あるやうむ、プレシリーズAエクステンションラウンド2ndクローズ(THE BRIDGE) — https://thebridge.jp/2024/05/alyawmu-pre-series-a2-round-funding あるやうむ 7,350万円の資金調達(創業手帳) — https://sogyotecho.jp/news/20241118ayawmu 785段を上りきった後の癒し空間 香川「金刀比羅宮(こんぴらさん)」(トラベルjp) — https://www.travel.co.jp/guide/article/35903/ 香川・金刀比羅宮の長~い階段を家族で何倍も楽しむ方法(BE-PAL) — https://www.bepal.net/archives/426985 琴平町の人口・世帯(ホームメイト・リサーチ) — https://www.homemate.co.jp/research/pr-kagawa/37403/ 琴平町のデジタルノマド誘致ツアー(トラベルボイス) — https://www.travelvoice.jp/20260422-159647 山古志DAO 錦鯉NFTとデジタル村民(三菱電機 Xperspectives) — https://www.mitsubishielectric.co.jp/business/biz-t/contents/xperspectives/dao/002_01.html ふるさと納税の指定基準等について(総務省、2025年4月25日) — https://www.soumu.go.jp/main_content/001010473.pdf 金刀比羅宮が神社本庁離脱へ(時事通信) — https://sp.m.jiji.com/english/show/5480
石田陽之(いしだあきひさ)
Cabinet株式会社 代表取締役
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