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地方創生
2026年11月04日

神戸ビーフの「ブロンズ像」がNFCとブロックチェーンで失効管理へ ― 国内外1,000店超の正規認定を、物理的な証から取り消し可能な証明に変える

神戸ビーフの「ブロンズ像」がNFCとブロックチェーンで失効管理へ ― 国内外1,000店超の正規認定を、物理的な証から取り消し可能な証明に変える

何が起きたか:「本物の証」自体を更新可能にした

神戸肉流通推進協議会は、神戸ビーフを取り扱う卸売店・小売店・飲食店を指定登録し、正規取扱店の証として牛をかたどったブロンズ像を貸与してきた。2007年の地域団体商標登録以降、繁殖農家から販売先まですべてを指定登録制とし、2015年には農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に第3号として登録されている。今回の導入で、ブロンズ像にNFCタグを貼付し、新たにNFCタグ内蔵の指定登録店証明ポップを作成した。タグに登録された店舗情報と認証情報はブロックチェーン上に記録され、協議会はSHIMENAWAの管理システムを通じて国内外の登録店の認証状態、有効期限、設置状況を一元管理する。認定更新や登録失効時には認証ステータスを即時に変更できるため、店頭のブロンズ像が物理的に残っていても、消費者がタップした画面には最新の認証状態が表示される。

解いた課題:回収できない「証」の失効

リリースが明記する課題は二つある。第一に、従来のアナログな認定証管理では、有効期限を迎えたブロンズ像の回収が難しく、期限終了後も継続して使用されるケースがあったこと。第二に、国内外で消費者が正規認定店であることを容易に確認できる環境が求められていたことである。神戸新聞によれば、協議会が指定登録し神戸ビーフを扱う店舗は2024年7月末で1,089店、約半数が海外店で、輸出先は42か国・地域に広がる。初輸出前には海外で神戸ビーフを名乗る牛肉がすべて偽物だったという農林水産省の事例資料もあり、海外店舗の認証管理はブランド保護の核心にある。物理的なブロンズ像は「本物を扱っている」ことの象徴として機能してきたが、取り消しができないという構造的な弱点を持っていた。NFCタグとチェーン上の記録は、その弱点を「証明の有効性をいつでも変更できる」仕組みに置き換える。

技術と運用:専用アプリ不要、ブラウザで確認

消費者側の体験は簡潔だ。ブロンズ像やポップのNFCタグにスマートフォンをかざすと、専用アプリを使わずブラウザ上で正規指定登録店名、指定登録番号、有効期限などが表示される。SHIMENAWAはICタグ(RFID/NFC)とブロックチェーンを組み合わせ、現物資産やカードに固有IDを付与して関連情報を一元的に記録するサービスで、真正性の確認、利用・配布履歴の記録、タグ経由のコンテンツ配信、入出荷・在庫管理に対応する。専用NFCタグはUni Tagと共同開発したもの。SBIトレーサビリティはSBIホールディングス傘下で2021年4月設立、資本金1億円。これまで日本酒「獺祭」などの酒蔵、刃物、ジュエリーで導入実績を積み、東邦銀行との提携で中小企業の海外販路支援にも使われてきた。協議会は今後、認証管理に加えてNFCタグを通じた指定登録店や神戸ビーフに関する情報発信の拡充も検討するとしている。

文脈:GI産品の「店舗認証」という新しい適用先

SHIMENAWAのこれまでの用途は、商品そのもの(酒瓶、刃物、ジュエリー)の真贋証明と開封検知が中心だった。今回は対象が商品ではなく「店舗の認定資格」であり、タグが付くのは商品パッケージではなく店頭の什器である。これは、GI産品や地域団体商標のブランド管理団体が抱える「誰が正規の取扱者か」という問題に、トレーサビリティ技術を適用した事例といえる。日本には2026年時点で150を超えるGI登録産品があり、多くの管理団体が同様に指定店制度や認定証を運用している。神戸ビーフのような海外展開の進んだブランドで有効性が示されれば、他の産地ブランドが追随する余地は大きい。

【事業開発に関するインサイト】

  1. 「証明の発行」より「証明の取り消し」に価値がある場面を探すべきである。神戸ビーフの課題はブロンズ像を配ることではなく、失効した像を回収できないことだった。認定証、会員証、ライセンス表示など、物理的に配布してしまうと取り消せない「証」を運用している団体は、失効管理の仕組みそのものを商品として買う。ブロックチェーンの改ざん耐性は、ここでは「取り消しの記録が後から書き換えられない」ことの担保として機能する。
  2. 対象を商品から「資格・認定」へ広げると、顧客は製造業から業界団体・自治体へ拡張する。SHIMENAWAは酒瓶や刃物という商品単位から、店舗認定という組織単位へ対象を移した。業界団体や認証機関は数が多く、同じ悩みを共有しているため、一件の導入が同種団体への横展開につながりやすい。
  3. 海外店舗の管理は、現地に人を置けない団体にとって最大の痛点であり、遠隔で有効性を変更できる仕組みは導入の決め手になる。神戸ビーフの登録店の約半数は海外にあり、42か国・地域に及ぶ。海外展開する地域ブランドの管理団体に対しては、「国内で何ができるか」より「現地に行かずに認定を止められるか」を訴求点に据えるのが有効である。

【引用:出典】

PR TIMES(SBIトレーサビリティ株式会社)「SBIトレーサビリティ株式会社の「SHIMENAWA(しめなわ)」が神戸肉流通推進協議会による神戸ビーフ指定登録店認証管理に採用」(2026年11月4日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000100112.html あたらしい経済「SBIトレーサビリティの「SHIMENAWA」、神戸ビーフの指定登録店認証管理に採用」(2026年11月5日) https://www.neweconomy.jp/posts/624066 CoinPost「神戸ビーフ正規店、NFCとブロックチェーンで証明 SBI系サービス採用」(2026年11月4日) https://coinpost.jp/?p=746306 神戸肉流通推進協議会「神戸ビーフの指定登録店とは」 https://kobe-niku.jp/contents/merchant/about.html 農林水産省「登録産品紹介 第3号:神戸ビーフ」 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/0003/index.html 農林水産省近畿農政局「輸出取組事例(兵庫県・神戸ビーフ)」 https://www.maff.go.jp/kinki/seisan/nousan/yusyutu/attach/pdf/export_jireihyogo-60.pdf 神戸新聞「社説:神戸空港国際化と神戸ビーフ」(2025年3月) https://www.kobe-np.co.jp/opinion/202503/0018730990.shtml 東邦銀行「SBIトレーサビリティ株式会社との業務提携契約締結について」(2023年10月23日) https://www.tohobank.co.jp/cms_source/data/newsrelease/files/20231023_3.pdf

監修

石田陽之(いしだあきひさ)

Cabinet株式会社 代表取締役

2017年より、一貫してトークンやNFTの活用、ブロックチェーンゲームの企画・開発、NFTを活用した事業開発に従事。大手エンタメ上場企業を始め、80件以上のブロックチェーンプロダクトに対し事業責任者や設計、PM、アドバイザー等、様々な立場でブロックチェーン関連の事業開発に関わってきた。2021年よりCabinet株式会社を創業。

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